(2021/12/1 05:00)
多様化する社会課題解決にデザイン思考が重視されるようになってきた。大阪の取り組みから将来を展望したい。
日本で最も古いデザイン振興財団、大阪デザインセンター(ODC)が61年目を迎えた。ODCは大阪商工会議所、大阪府・市などが出資し「大阪デザインハウス」として発足した。公的なデザイン振興財団の第1号だ。発足当時は高度経済成長の入り口で産業デザイン界が活性化する時期だった。
活動の柱は中小企業に対するデザイン相談や啓発、デザイン人材の育成など。この60年で企業のデザインマインドは確実に向上した。その証左のひとつが45年間継続し事業の柱だったODC独自の「グッドデザイン商品の選定・展示事業」の休止。越田英喜理事長は「企業がデザインに対する評価基準を持ち始め、我々の評価基準に達したため」と分析する。
意匠や外観といった目に見えるものだけでなく、消費者のニーズや従業員の発想に基づき、開発、製造からマーケティング、宣伝、販売までを一貫した考えで進めるデザイン思考を経営の中核に据える「デザインマネジメント」の必要性は中小企業にも確実に浸透している。
中小企業のデザイン力はアップしているが、消費者も着実にレベルアップしている。企業もデザイン事務所もODCも変わらねばならない。折からのコロナ禍でテレワークが広まり、営業や各種面談もリモートが当たり前になった。ODCの活動もリアルだけでなく、本格的なバーチャル展開を考えねばならない。また人材育成も一歩進めてアントレプレナー育成まで踏み込んで欲しい。
この間の環境変化は早くて激しい。国連の持続可能な開発目標(SDGs)や脱炭素社会の構築なども避けて通れない課題だ。企業はこうした社会的課題に取り組まざるを得ない。そこにデザインがどう関与できるのか、どこまで取り組めるのか。大阪を「デザイン先進地域」とする役割を担うODCも進化を迫られている。60年を機に次のステップに移行してほしい。
(2021/12/1 05:00)
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