(2021/12/21 05:00)
雨の昼下がり。和歌山駅のホームに降り立つと、駅構内の改札前に自転車を引く人の姿が見えた。正体は“雨宿り”でなく、JR西日本和歌山支社による列車混乗の実験。
コロナ禍による移動需要の激減は都市鉄道や新幹線だけでなく、観光と生活の足である地方でも顕著だ。存廃がちらつくほどの難局を打開しようと、各所で需要創出が試みられている。
和歌山県では南部の紀勢線で予約・追加料金不要、自転車をそのまま普通列車に乗せられる「サイクルトレイン」が始まった。9―11月の実証期間に1日最大60人が利用。20年度の平均輸送人員が約600人の同区間で、需要喚起の効果は大きい。
12月から本運用とし、利用できる列車本数を増やした。ホームの階段にスロープを付ける環境整備にも着手した。公共交通を守るための取り組みには、地元自治体との連携が欠かせない。仁坂吉伸知事も列車への自転車混乗を「県全体でやれたらいい」と後押しする構えだ。
自転車で出かけても、疲れたり雨が降ったりすれば、列車に乗って帰れる。新しい移動のカタチになりそうだ。コロナ禍がもたらした危機感が、現場に資産を有効に使うアイデアの創出と実現を急かしている。
(2021/12/21 05:00)
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