(2021/12/23 05:00)
田中正造は足尾銅山鉱毒事件の解決に生涯をささげた。今年は生誕180年、明治天皇への直訴から120年に当たるのを記念し、佐野市郷土博物館では7年ぶりに実物の直訴状を28日まで公開する。
足尾銅山(現在の栃木県日光市)は近代化の光と影を映し出す。明治期に古河市兵衛が欧米の採掘技術を導入し国内生産の4割を担ったことも。一方で銅山から流れ出た鉱毒で渡良瀬川下流域の農業は壊滅的な被害を受けた。
直訴は護衛に遮られ失敗に終わる。田中が天皇の目前でつまずいたとの話しもある。だが事件の惨状は新聞などで世の中に知れ渡ることになり、全国から被害農民へ同情の声が寄せられた。
地元有志らが「足尾銅山の世界遺産登録を推進する会」を立ち上げ15年になる。近代化の負の遺産ということもネックになっているのだろう。登録までの道のりは険しく、会員の高齢化と地域の人口減少は進む。
世界遺産の可否はさておき、負の遺産を学びの場ととらえるダークツーリズムの価値を足尾から発信できないか。「光も影も歴史の真実を後世に伝えていかなければ」と事務局長の奈良部真弓さん。足尾には環境学習という観光の“鉱脈”が眠っている。
(2021/12/23 05:00)
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