(2022/1/25 05:00)
経済情勢の変化を労使でじっくり話し合う必要がある。
2022年の春の労使交渉(春闘)がスタートした。連合は20日に要求方針を確認。26日の経団連との懇談会と、2月3日の闘争開始宣言で本格的に交渉を始める。
今春闘が、新たな賃上げを問われていることは明らかだ。食料やエネルギーをはじめ消費者物価の上昇傾向が鮮明になり、企業の立場でも従業員の生活を守る必要が高まっている。
安倍晋三政権下で13年に始まった「官製春闘」は、賃上げによってデフレ経済の克服を図る狙いがあった。企業の協力で賃上げ率は2%に乗せたが、新型コロナウイルスの感染拡大で21年春闘の賃上げ率は低下した。
今春闘ではインフレが先にある。「成長と分配の好循環」を目指す岸田文雄首相は「民間においても新しい資本主義の起動にふさわしい3%を超える賃上げを期待する」と、官製春闘時代を上回る水準を要望。これを後押しするために賃上げ税制を用意した。
ただ経営側は簡単には受け止められない。製造業をはじめコロナ禍以前の業績を取り戻した企業は一部に過ぎず、サービス業には大きな損失が残る。目下の変異株の大流行で先行きも見通せない。
経団連は経営側の指針である経営労働政策特別委員会報告で、積極的な「人への投資」の重要性を訴える一方、個別企業の総額人件費管理を賃上げの基本とする従来方針を維持。「国民生活全体を高める指導性」を求める連合とは距離がある。
一方、業績回復が遅れている中小企業にとって積極的な賃上げは難しいのが実情だ。政府は発注企業が取引先に配慮する「パートナーシップ構築宣言」を提唱し、登録企業は5000社を超えた。ただ、これが今春闘の回答に影響するかどうかは未知数だ。
企業の規模を問わず、経営側はインフレで従業員の生活が損なわれる事態は望まないはずだ。労使で変化する経済環境に向き合い、賃上げ水準を話し合ってほしい。
(2022/1/25 05:00)
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