(2022/2/1 05:00)
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が遅れている。供給の混乱とモデルナ製ワクチンを回避する行動が要因と指摘されている。接種の加速には政府の正確な情報発信が不可欠だ。
ワクチンの3回目接種を終えた比率は、1月28日時点で国民の2・7%と先進国で最低レベルにとどまっている。
接種の開始時期が遅かったことや、国から自治体への指示が、2度目の接種から8カ月以降だったのが、7カ月、6カ月と度々変更され、自治体側の対応に混乱を招いたことが大きい。
一部の自治体は8カ月を前提に、住民にお知らせを配布したところで、政府から接種の前倒しを求められた。前倒しを決定したものの、住民に十分に周知されず、予約の枠が埋まらない事態が生じている。
もうひとつの遅れの要因は、モデルナ製ワクチンの副反応に対する忌避だ。3回目接種はモデルナ製の比率が高く、ファイザー製を望む高齢者による接種控えが起こっている。
モデルナ製ワクチンに発熱や腕の痛みが発生する割合が高いと言われているが、3回目のワクチンの接種量は1、2回目の半分で、副反応の発生率も抑制されているという。感染した時に生じる重症化リスクと比較すれば、早期接種が有効であるのは明らかである。政府は正確な情報提供で国民の不安を取り除くことに力を注ぐべきだ。
1月31日に東京で自衛隊による国の集団接種が始まった。最初の予約枠はわずか9分で埋まった。モデルナ製ワクチンを使うが、早く接種したいと考える人が多数いることも分かった。自治体でも年齢制限を撤廃する動きが一部に見られる。柔軟な対応で希望者が早期に接種できる環境整備を進めたい。
ワクチン接種が進む欧米では、オミクロン株が流行する中でも、水際対策を緩和し、濃厚接触者の自宅待機をやめるといった、ウィズコロナ政策が着々と進んでいる。このままでは、日本だけが社会活動を停滞させ、経済回復が立ち遅れる状況に陥りかねない。接種の加速にあらゆる努力を重ねてもらいたい。
(2022/2/1 05:00)
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