(2022/1/31 05:00)
政府は中小企業の連携事業促進のための支援制度を2022年度に新設する予定。コロナ禍で先行きが不透明な時こそ、新制度を活用し、事業再構築などで生産性を高めたい。
経済産業省・中小企業庁が新設するのは「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」。「ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」の後継に当たるが、目的に事業再構築を加え、連携体が各構成企業の配分額を柔軟に設定できるようにした点が新しい。補助金額は1連携体につき最高1億5000万円、期間は最長2年。
具体的には、新分野展開、業態転換、革新的な製品やサービスの開発、生産プロセスの改善、顧客・在庫情報の共有システム構築などが対象。補助事業期間終了後3―5年間に、付加価値額(営業利益・人件費・減価償却費の合計)または従業員1人当たりの労働生産性が、年率平均で3%以上増加することが審査の基準になる。
運用面の課題を指摘しておきたい。複数の中小企業が連携体を組成・運営するには、全体を統括するリーダーの手腕がカギになる。だが中小企業経営者は多忙でリーダーの役割を担えず、連携体の構成企業に適任者がいない場合もある。認定支援機関などが伴走支援できる仕組みづくりが必要だろう。
公募開始から申請締め切りまでの期間が2カ月程度しかないことも利用の制約要因になりそうだ。連携体を組成し、事業計画をまとめ上げるには「半年程度は必要」(北浜グローバル経営)との指摘もある。企業庁は告知を早めるべきだろう。
22年度予算案では10・2億円を計上した。効果を踏まえ23年度以降の予算拡充も求めたい。事業再構築では、自動車部品製造者が連携してエンジン車から電動車へ事業転換を図るなど、脱炭素社会への経済波及効果を期待したい。新規の設備投資が必要になれば間接的に大手製造業にも恩恵が及ぶことになる。
コロナ禍は新たな飛躍に向けた「仕込み」の好機ととらえたい。その成否が収束後の明暗を分けることになりそうだ。
(2022/1/31 05:00)
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