(2022/2/2 05:00)
中小企業が持つ知的財産をもとに融資を実行する「知財金融」を進めるには、適正な評価の仕組みが必要だ。
金融機関や投資ファンドなどが企業に融資や投資を実施する際に、不動産や設備などの有形資産を担保とするものから、知財などの無形資産による将来性を評価して融資や投資を行い、企業の成長を後押しする仕組みの必要性が指摘されている。
しかし現実にはその取り組みは遅れていると言わざるを得ない。企業価値に占める無形資産の割合が、米国では2020年時点で90%であるのに対し、日本では32%にとどまっているというデータもある。
企業自身が自社の持つ無形資産を価値として認識できていないこと、金融機関側も無形資産への融資に実績が乏しく、価値を評価する仕組みを持たないことなど、双方に課題があると指摘されている。
岐阜を本拠とする十六銀行は、日本弁理士会東海会と2021年4月に知財金融に関する連携協定を締結した。同行の取引先に弁理士が帯同し、顧客の知財に関する相談に応じたり、知財となる企業価値を発掘する活動を進めている。「顧客の事業内容を深く知るきっかけができた。今後より踏み込んだ融資が行える」(同行愛知営業本部)と手応えを感じている。
知財の専門家である弁理士が協力することで、金融機関にとっても、顧客の課題解決の足がかりが見いだせる取り組みだ。
ただ、融資に結びつけるには課題もある。知財の価値を適切に評価するためのコストを誰が負担するかだ。知財融資に詳しい弁理士の井上佳知氏によると、「案件によるが特許の将来性などを調査するには50万―80万円が必要」で、普及を阻む要因ともなっている。
特許庁も企業の知財に関する評価書を作成支援する補助制度を設けているが、より簡易に評価できる仕組みが求められる。
無形資産の把握は、融資だけでなく事業承継においても重要になっている。経営者は自社の価値の〝見える化〟により真剣に取り組んでほしい。
(2022/2/2 05:00)
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