(2022/2/3 05:00)
大企業と中小企業の賃金格差是正も春闘の主要課題だ。
連合は、3日の中央総決起集会で「闘争開始宣言」を行う。2022年の春の労使交渉(春闘)を「未来づくり春闘」と位置付け、「2%程度を基準とする」統一ベースアップ(ベア)要求を掲げた。同時に、大企業労働者と中小企業や非正規の労働者との格差是正を前面に打ち出した。
労働側の賃上げ要求基準は、定期昇給相当分2%とベアを合わせ、21年要求と同水準の4%程度となる。昨年実績を上回る賃上げ2%以上を確保できるかどうかが注目される。
21年春闘では、定期昇給とベアを合わせた平均賃上げ率は1・78%(5180円)で、20年を0・12ポイント(326円)下回った。政府主導で賃上げを促した「官製春闘」が14年に始まって以降、最低の賃上げ率だった。さらに組合員1000人以上の大手が20年比0・14ポイント減の1・78%(5439円)なのに対し、300人未満の中小は0・08ポイント減の1・73%(4288円)。減少幅は大手の方が大きいが金額ベースで格差は拡大した。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、高卒標準労働者の所定内賃金水準の推移は、14年以降上昇傾向にあるものの、日本の賃金水準のピークの1997年から、企業規模が小さいほど、下落幅が大きい。
連合の芳野友子会長は、中小の賃上げについて「中小が価格転嫁を行う際に、取引価格適正化が大事」と強調する。公正取引委員会も「優越的地位乱用未然防止対策調査室」の新設を表明しており、適切な価格転嫁に目を光らせる必要がある。
ただ、適正価格の算定には困難さも伴う。適正な取引価格を示す新たな工夫が必要だ。例えば、学者や公認会計士などで構成する第三者委員会を新設し、企業から必要なデータを収集し、エビデンス(科学的証明)に基づく適正価格を提示する。これを基に、企業が取引価格を見直すといった仕組みだ。
中小の賃上げの実現は、生産性向上の自助努力と、官民あげた取り組みがカギを握る。
(2022/2/3 05:00)
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