(2022/2/4 05:00)
コロナ禍の難局を迎えた今だからこそ、政治家に強いリーダーシップが求められる。
東京都知事や運輸相(現国土交通相)、環境庁長官(現環境相)などを歴任した石原慎太郎氏が死去した。石原氏は1999年4月、知事に就任。ディーゼル車排ガス規制の実施など、国に先駆けて都独自の施策を遂行してきた。
政府は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現へ、予算や税制、金融、規制改革・標準化、国際連携とあらゆる政策を総動員している。環境問題という地球規模の課題に取り組むには政治の指導力が欠かせない。
石原氏は米軍横田基地の軍民共用化の実現を訴え続け、米軍から横田空域の航空交通管制圏の一部返還を実現した。国際ハブ空港としての羽田空港の機能強化、日本の国際競争力の強化につなげた功績は大きい。
公会計制度改革にも切り込んだ。鈴木俊一都知事時代(1979-95年)の全盛には1兆円ほどあった東京都の積み立て基金が、石原氏の知事就任の99年には数百億円程度までに落ち込んだ。バブル経済の崩壊で都税収入が急減、「財政再建団体」への転落を危惧する声すら都政関係者の中にあった。
石原氏は東京都の財政再建を進める中で、予算至上主義の官庁会計に民間企業の会計手法を取り入れ、決算を重視する考え方を持ち込んだ。「バランスシートがない。東京都の家計簿がないんだよ」と石原氏は指摘。当時の日本公認会計士協会会長の中地宏氏を東京都参与に招き、行政の決算に民間企業の会計方式を導入したバランスシートづくりに着手した。
06年4月に従来の官庁会計に加え、複式簿記・発生主義会計を東京都に導入した。06年度末には基金残高が「隠れ借金」残高を上回る規模までに回復。財政再建を果たした。
石原氏の言動は毀誉褒貶(きよほうへん)相半ばだったが、本来なら国がやるべきことを、都政が先行した功績は確かにあった。政治に強いリーダーシップが必要なことを教えてくれた方だった。
(2022/2/4 05:00)
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