(2022/3/10 05:00)
自動車が移動の手段だけではなくなるモビリティー時代を見据えた提携だ。ソニーとホンダが生み出すイノベーションに期待したい。
ソニーグループとホンダが、電気自動車(EV)の事業化で提携した。2025年に新車を市場投入する。
今回の提携で最も意義があるのは、モビリティーのプラットフォーマーを目指す点だ。パソコンをマイクロソフト、スマートフォンをアップルがけん引したのは、単なるハードだけでなく、そこで提供されるソフトウエアやサービスに価値があったからに他ならない。
両社は日本がデジタル敗戦と呼ばれた時代を生きてきたからこそ、モビリティー市場で過去の轍(てつ)を踏むわけにはいかないと考えたのだろう。もちろん自動車に求められる一番の性能は安全性だ。航続距離などの課題も乗り越えなければならない。
しかし、その先には自動運転が当たり前の時代が到来する。その時クルマに求められるのは、新たな空間や移動が生み出す価値である。この価値を世界のユーザーが実感し、選択されることが、モビリティー時代の勝者の条件となろう。
ビジネスモデルも変化する。シェアリングやサービス利用への課金によるリカーリングが台頭する。クルマを介してユーザーと常につながるモビリティーのプラットフォーマーが大きな地位を占めるようになる。
プラットフォーム構築を担うソニーは、今後幅広いサービス事業者に開放する方針を示した。ベンチャーや中小企業が多彩なサービス開発で競い合う場としても期待したい。
自動車生産を支えるサプライチェーン(供給網)を、モビリティー時代にどう生かすかも課題である。事業転換が必要な分野もあるが、デジタルとモノづくりの融合をいち早く取り込めば、市場は世界に広がる。
ライバルは既存の自動車メーカーだけでなく、米アップルや中国のアリババやバイドゥなど手ごわい。日本を代表する独創力ある両社が創り出す新たな価値で市場を獲得してほしい。
(2022/3/10 05:00)
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