(2022/4/12 05:00)
ロシアのウクライナ侵略抑止に向け、西側諸国はロシアへの追加制裁とウクライナへの軍事支援で歩調を合わせる。ただロシアは新司令官の任命によりウクライナ東部への攻勢をさらに強める可能性があるという。西側諸国は中印を通じた制裁逃れをけん制しつつ、ウクライナ支援強化で結束を固めたい。
ロシア軍によるウクライナ民間人の大量虐殺が露呈し、西側諸国による対ロシア制裁が新たな局面に入る。ロシアとの直接交戦を避けたい北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、これまでウクライナへの武器供与で慎重姿勢だった戦略を転換し、ロシアへの圧力を強める。
米国は携行型の対戦車ミサイルに続き、自爆型飛行ロボット(ドローン)なども追加供給。チェコはすでに戦車などを、スロバキアも米国製地対空ミサイルシステム、英国も装甲車や対艦ミサイルを提供する。
NATO加盟国はロシアとの交戦につながらない武器供与の範囲を慎重に探り、効果的にウクライナを側面支援したい。
日本は欧米と協調し、ロシアに追加制裁措置を科す。ロシアからの石炭輸入を段階的に禁止するほか、ロシア最大の政府系金融機関ズベルバンクの資産を凍結し、ロシアによる外貨獲得の機会を縮小する。独英はロシア産石炭に加え、石油(原油)も年末までに輸入停止する。
ただ欧州はロシアへの資源依存度が高く、国内資源に乏しい日本も原油や天然ガスまで輸入規制を直ちに講じるのは難しい。まずは国益に照らし、可能な限りのロシア制裁とウクライナ軍事支援を迅速に実施し、戦況悪化に歯止めをかけたい。
日欧は原油や天然ガスを含むロシア依存を低減する計画策定も急ぐ必要がある。再生可能エネルギーへの移行などを加速することは、懸案の脱炭素化を促すことにもなるはずだ。
日本は2023年に先進7カ国(G7)首脳会議の議長国となる。「平和秩序を守る正念場」(岸田文雄首相)を一刻も早く乗り越え、日本が国際秩序の再構築に向けた議論を先導できる環境を整えたい。
(2022/4/12 05:00)
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