(2022/4/21 05:00)
国際通貨基金(IMF)がまとめた2022年の世界経済見通しは、コロナ禍にロシアのウクライナ侵略が重なり、厳しい見立てとなった。世界経済の一段の減速により、日本は内需に続いて外需(輸出)の停滞も懸念される。侵略の長期化も見据えた施策、とりわけ体力で劣る中小企業に目配りした対策が日本政府に求められる。
ロシアへの経済制裁が資源や穀物などの価格を一段と高騰させ、世界経済は景気拡大によらない「悪いインフレ」に見舞われている。IMFによると先進国で平均5・7%、新興国・途上国で同8・7%の物価上昇が予想され、世界経済の成長率はプラス3・6%まで減速すると見通す。1月時点の予測を0・8ポイント下方修正している。
インフレ抑制に向けて米欧は金融引き締めに動き、これによって自国通貨が下落した新興国も通貨流出を防ぐため金融引き締めで追随している。
だがウクライナ情勢の先行きは不確実性が高く、さらなる下振れリスクもある。先進国はもちろん、新興国も厳しい政策運営を迫られる。中国が「ゼロコロナ」政策の長期化により経済減速がさらに進めば、同国との貿易依存度が高い新興国は経済が停滞する中で金融を引き締める厳しい環境下に置かれる。
世界経済の停滞が、日本企業の輸出に及ぼす影響が心配だ。円安は輸出主導企業に追い風だったが、その恩恵が希薄になることが懸念される。
日本は、円安進行が輸入資源の高騰に拍車をかけている。日銀の異次元緩和を修正すれば物価高騰は緩和されるが、経済界でも見方が分かれる。経団連の十倉雅和会長は金融緩和の「出口戦略」の議論は「時期尚早」とし、日本商工会議所の三村明夫会頭は「円安は日本経済に対してデメリットが大きいのでは」「(出口戦略も)慎重に考えてもらいたい」と語る。
日銀は異次元緩和を継続する姿勢を崩さない。内需主導型が多い中小企業は円安の負の影響がより大きいはずだ。円安抑制が政策的に難しいなら、手厚い中小企業対策を求めたい。
(2022/4/21 05:00)
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