(2022/4/28 05:00)
「ゼロコロナ」政策に拘泥する中国の経済減速が、日本および世界経済に及ぼす影響が懸念される。上海市のロックダウン(都市封鎖)は中国の内需を縮小させているだけではない。上海市に進出した日系企業は事業の停止を迫られ、中国から日本への部品供給も滞っている。日系企業は米中対立を受けて進めてきたサプライチェーン(供給網)の再構築を加速し、対中国への耐性を強化したい。
中国の1―3月の実質国内総生産(GDP)成長率は年換算で4・8%。国際通貨基金(IMF)による2022年(暦年)見通しは4・4%で、中国が掲げる22年の成長目標「5・5%前後」に届かない。
国際経済都市の上海市は当初「ウィズコロナ」を目指したが、3月下旬からロックダウンが続く。今秋の共産党大会で3期目続投を目指す習近平国家主席は、感染が上海から北京市などに拡大し、威信低下につながる事態を何としても避けたい。武漢市で感染を封じ込めた成功体験を継続したい思惑も透ける。
だが経済を犠牲にしてまでこだわったゼロコロナ政策は、感染力の強いオミクロン株の出現によってシナリオが狂った。いつまでも感染はゼロにならず、都市封鎖を解除できずにいる。感染ゼロのためなら人道さえ軽視する手法も受け入れ難い。
上海日本商工クラブによると、日系企業の70%が上海市以外との物流を停止し、34%が工場を停止。94%が在宅勤務を強いられている。自動車産業などは中国からの部品調達が滞り、国内工場を停止する動きもある。中国を含む供給網の見直し・代替生産の整備を急ぎたい。
中国は日本にとって最大の輸出相手国でもあるが、同国の経済減速はその輸出にも影響を及ぼす。IMFは22年の日本の実質成長率を2・4%と前回調査から0・9ポイント下方修正し、さらなる下振れも懸念される。
ただ中国が重要な巨大市場であることに変わりはない。ウクライナ危機で西側諸国の結束を強化しつつ、中国からいかに実利を獲得するか、不即不離のしたたかな外交も求められる。
(2022/4/28 05:00)
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