(2022/5/4 05:00)
中国経済の減速が懸念される。コロナ禍に収束の兆しはなく、個人消費が下振れするとともに企業の投資マインドや不動産市場も冷え込み、景気停滞が続く。だが中国は日本にとって重要な輸出相手国であり早期の経済活動活発化が望まれる。
2020年初頭に中国から始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、世界規模のパンデミックに発展し、いまだに収まっていない。中国は早い段階から感染地域における検査と大規模なロックダウン(都市封鎖)を含む移動制限を徹底し、同年春には感染拡大を収束させた。
中国の実質国内総生産(GDP)成長率(年率換算)は、20年第1四半期にマイナス6・9%に落ち込んだ後、V字回復を見せ、21年第1四半期にはプラス18・3%という高水準に達した。しかし、その後は回復が鈍化し、21年第4四半期はプラス4・0%まで低下し、米国や欧州連合(EU)の水準を下回った。
景気低迷の要因は、新型コロナウイルスの感染拡大による個人消費の減少に、電力不足が深刻になったことも追い打ちをかけたようだ。また21年9月に顕在化した中国恒大グループをはじめとする中国の住宅メーカーの債務危機をきっかけに、不動産市場が調整局面に入ったことも響いた。今年1-3月期のGDP成長率は下振れが懸念されたが、プラス4・8%と一定の伸びを確保した。
今後を展望すると、インフラ投資などの政府関連投資が下支えするものの、個人消費と輸出の伸び悩みは避けられず、景気低迷が続く見通し。個人消費はゼロコロナ政策の長期化により低迷が長引く見込みで、輸出はウクライナ情勢の悪化で欧州をはじめとする海外景気が下振れるため、増加は望めない。
今年の中国は、秋に開催予定の共産党大会において習近平国家主席が3期目入りを目指す重要な時期であり、安定した経済運営が望まれる。しかしゼロコロナ政策の長期化とウクライナ情勢による景気下押し圧力を勘案すると、22年の実質成長率は政府目標のプラス5・5%前後を下回るのは避けられそうもない。
(2022/5/4 05:00)