産業春秋／大型連休の「コロナ決算」

新型コロナウイルス対策の行動制限がなくなり、大型連休の行楽地は多くの観光客でにぎわった。高速道路が大渋滞する光景に懐かしさを覚えた。

現下の第６波で感染者、死亡者とも過去最多になったことをつい忘れてしまいそうになる。「コロナ慣れ」ともいえる気の緩みが感染の再拡大につながらないか心配だ。

オミクロン株は「重症化率は低い可能性が高い」。６波の入り口でこう言い放った政府首脳よりコロナの方がよほど上手だった。６波はピークを越えたとはいえ、５波と違い、新規感染者数が下がり切らずにいる。

コロナは変異を繰り返し、巧みな生存戦略で我々の隙を突いてくる。３回目のワクチンを接種した人から、デルタ株の特徴が加わった国内由来のオミクロン株ＢＡ・２系統の市中感染が初確認された。影響を注視したい。

大型連休の「コロナ決算」はいかに。６波はこのまま収束へ向かうのか、新規感染者数が増加に転じ、第７波の上り坂が始まるのか。コロナが人と共生できる「普通のかぜ」になるには、もうしばらく時間がかかりそうだ。今は高齢者やハイリスク者の４回目接種を１日でも早くと願う。こわいのはコロナよりコロナ慣れした行動だ。