(2022/5/24 05:00)
日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」は24日、都内で首脳会合を開く。ウクライナ情勢に加え、インド太平洋地域の安全保障を脅かす中国を念頭に置いた結束なども協議される見通しだ。焦点はインドだ。中立・非同盟を貫くインドが対ロシア、対中国でどこまで足並みを揃えるかを見極めたい。
植民地時代を経験し、中立・非同盟のインドは、東西どちらにくみするといった二者択一を好まず、イデオロギーより国益を重視する傾向がある。対中国とは国境問題を抱え、2020年には軍事衝突した。インドはクアッドに加わって中国をけん制し、中国が存在感を増している東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加も見送っている。だがインドにとって中国は最大の貿易相手国という微妙な関係にある。
中国もまた、ロシアに寄りつつも、国際社会からロシアと一体視されることを懸念し、大国インドに秋波を送っている。
他方、インドにとってロシアは旧ソ連時代から関係が深く、武器の半数程度をロシアからの輸入に依存している。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる国連安全保障理事会での非難決議も棄権し、インドは米欧のロシアへの経済制裁の抜け穴にもなっている。インドにとってロシアは中国に対抗するための重要なパートナーと見るべきだ。
今回のクアッド首脳会合はインドに配慮し、ロシアを名指しで批判する事態は想定されない。むしろインドがロシアとの関係をこれ以上深化させないよう、クアッドにつなぎ留めることが最大の課題になる。対中国でもインドの国益に影響が及ぶため慎重な交渉が求められる。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の21年世界軍事費シェアによると、1位は米国の38・5%、2位が中国の14・1%、3位インドの3・7%で、日本は9位の2・6%、豪州は12位の1・5%だった。クアッド4カ国で46・3%に達し、中国の約3倍に相当する。
日印首脳間のシャトル外交なども推進し、クアッドの枠組みを維持・拡大したい。
(2022/5/24 05:00)
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