(2022/5/26 05:00)
岸田文雄首相は23日の日米首脳会談後の会見で、「防衛費の相当な増額」を表明した。インド太平洋地域の安全保障を脅かす中国や北朝鮮を念頭に置けば、当然の判断と言えよう。問題は財源の確保だ。ドイツやスウェーデンの先例を見習いたい。
政府は6月上旬に閣議決定する骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)で防衛力の抜本的な強化を盛り込む。自民党は焦点の2023年度防衛予算について、22年度当初予算の5・4兆円から6兆円台半ば程度への増額を想定している。
骨太方針には財政健全化目標も盛り込まれる。自民党の財政健全化推進本部(最高顧問=麻生太郎副総裁)は国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の25年度黒字化目標を堅持するよう提言。一方、同党の財政政策検討本部(最高顧問=安倍晋三元首相)は年度を区切った目標設定を疑問視する。
いずれにしても、財政健全化への道筋はしっかり示してもらいたい。国の借金は21年度末に1241兆円と過去最大を更新し、主要国中で最悪の財政事情は改善する必要がある。
岸田首相は防衛予算について“規模ありき”の批判を回避するため「必要額を積み上げる」と強調する。計上する予算項目や財源は今後の議論を待つことになる。政府の財政制度等審議会は25日、財政健全化に向けた建議(提言)をまとめ、防衛予算は課題を洗い出すことから始めるなど慎重な審議を求めた。
欧州ではウクライナ情勢を受け、ドイツやスウェーデンが国防費の増額を決め、北大西洋条約機構(NATO)が掲げる国内総生産(GDP)比2%以上を計上。両国とも財源を確保し、スウェーデンは酒税とたばこ税の増税などで財源を賄う。
自民党は5年以内に同2%以上、現状比2倍の防衛費計上の必要性を指摘している。防衛費は子孫に国を残すための経費で、国債で賄うべきとの指摘もある。たが、財源を国債に過度に依存すれば国の信認を損ないかねない。岸田政権には防衛力とともに財政健全化と経済再生への十分な目配りを求めたい。
(2022/5/26 05:00)
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