産業春秋/企業を守るホイッスル

(2022/5/27 05:00)

英語で内部通報者のことをホイッスルブロワーと呼ぶのは言い得て妙だ。従業員が安心して警笛を吹けるようになるには経営者の姿勢とともに、通報窓口や調査、是正措置に携わる従事者の対応によるところが大きい。

6月1日から改正公益通報者保護法が施行になり、従業員が300人を超える企業に体制の整備が義務付けられる。従事者は身の引き締まる思いでは。守秘義務に違反すると30万円以下の罰金に科せられる場合がある。

刑事罰で通報者の保護を強化しても制度が定着するかどうかは未知数だ。企業が利用に消極的では形骸化してしまう。通報ルートを社内外で複線化するなど、経営者の本気度が試される。

「通報窓口の評判はすごい勢いで社内に伝わる」と、ディー・クエスト(東京都千代田区)執行役員で内部通報のコンサルティングが専門の福山隆秋さん。通報の大半はハラスメント系だが、丁寧に対応しなければ情報が入らなくなる。

企業価値の毀損(きそん)を招くような不祥事の芽は早めに摘んでおきたい。糸の切れた凧(たこ)のように制御不能になってからでは遅い。人手とコストをかけて体制を整備するのだから、ホイッスルで自浄作用が働く生きた制度にしよう。

(2022/5/27 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン