社説/東電管内 「注意報」解除 予断許さず、設備管理の徹底を

(2022/7/1 05:00)

経済産業省は30日、4日連続で東京電力管内に発令していた「電力需給ひっ迫注意報」を同日18時に解除したと発表した。JERAが運営する姉崎火力発電所5号機(千葉県市原市)が同日再稼働するなど、十分な予備率を確保できると判断した。

ただ常磐共同火力の勿来(なこそ)火力発電所9号機(福島県いわき市)が同日、設備トラブルで停止する事態があった。午後に運転を再開したが、不測の事態が電力逼迫(ひっぱく)を誘発する懸念が残る。設備管理の徹底と迅速・正確な情報発信を政府および事業会社に求めたい。

老朽化により3月に停止した姉崎火力発電などの再稼働が順次計画されているほか、太陽光発電による補完や家庭・企業の節電努力が注意報解除につながった。だが老朽化設備はリスクがつきまとい、勿来火力発電のような予期せぬ事態が再発すれば電力供給は再び綱渡りになりかねないと留意するべきだ。

30日も日本列島の広範囲で猛暑に見舞われ、中でも東電管内の需給逼迫が懸念された。環境省と気象庁は同日、東京都に今年初めてとなる「熱中症警戒アラート」を発表した。想定外の発電所のトラブルや自然災害が起きれば「注意報」にとどまらず「警報」が発令され、停電の可能性もある。

警報が初めて発令されたのは、福島県沖で震度6強の地震に見舞われた3月。この地震の影響で東電と東北電力管内で最大約220万戸が停電した。火力発電所の停止と最高気温10度Cを下回る中での暖房需要の増加、雨で太陽光発電の電力に頼れなかった要因が重なった。今回の注意報解除は、東電管内の電力逼迫の当面の山を越えたに過ぎず、想定外の事案も模索する緊張感が政府に求められる。

政府は引き続き無理のない範囲で節電協力を求める。東京都の小池百合子知事が東京電力ホールディングス(HD)の株主総会で株主として「都民、国民への節電頼みは本来あるべき姿ではない」と語ったのはその通りだろう。電源構成も含め電力事業のあり方を見直すべきだ。

(2022/7/1 05:00)

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