産業春秋/円安・物価上昇続く

(2022/9/7 05:00)

物価の上昇に、賃金の上昇が追い付いていない。厚生労働省が6日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価変動を反映した実質賃金は前年同月比1・3%減と4カ月連続の減少だった。

高原状態のエネルギー価格や食料品の高騰などが背景にあり、日銀によると7月の企業物価指数は前年同月比で8・6%も上昇した。企業の間では仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁する動きも広がっている。

帝国データバンクの調査では、8月以降の1年以内に「値上げした/する予定」の企業が31・4%を占めた。すでに4―7月に値上げした企業を合わせると約7割が値上げを決断した計算だ。

政府は9日に追加の物価対策を取りまとめる。政府による輸入小麦の販売業者への売り渡し価格を10月以降も据え置き、9月末に期限を迎えるガソリン価格の抑制策(補助制度)も延長。さらに生活困窮者対策や中小企業の価格転嫁対策も講じる。

財源は2022年度予算の予備費を活用する意向で、22年度第2次補正予算案の編成は今後決定する。6日の東京外国為替市場では一時1ドル=141円台まで円安が加速した。一喜一憂は禁物だが、相場動向を注視していきたい。

(2022/9/7 05:00)

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