産業春秋／二刀流あやかりたい岸田政権

エンゼルス・大谷翔平選手が日本時間の６日、今季最終戦でシーズンの規定投球回を達成した。すでにクリアした規定打席と合わせ史上初の“ダブル規定”達成の偉業。２ケタ勝利、２ケタ本塁打の“ダブル２ケタ”もベーブ・ルース以来１０４年ぶりに達成している。

大谷選手の二刀流にあやかりたい岸田文雄首相。９月にニューヨーク証券取引所で行った講演では、看板政策「新しい資本主義」は「成長と持続可能性のツー・ウェイだ」と二刀流を強調し、日本への投資を呼びかけた。

本来の二刀流は利き手に攻めの刀、反対の手に防御の刀を持つ。５日から代表質問が始まった臨時国会は、旧統一教会（世界平和統一家庭連合）と自民党の関係が厳しく追及され、岸田政権の守りの答弁が目立つ。

政権は総合経済対策で攻勢に転じられるのか。「物価高・円安対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」を“利き手”に携え、低迷する内閣支持率を回復できるかが焦点だ。

岸田首相はニューヨーク証券取引所の講演で「野球で一番盛り上がるのは逆転勝ちだ」とも語り、日本再生を誓っていた。防戦が目立つ臨時国会の失点を取り返し逆転できるのか、注目したい。