(2022/10/18 05:00)
1ドル=150円台も視野に、ドル独歩高に収束の兆しは見えない。先週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、インフレ退治に向けた急速な利上げが世界経済に及ぼす影響が懸念され、金融引き締めは「適切に調整する」ことを確認した。だが11月8日に米中間選挙を控え、バイデン米大統領は「ドルの強さは懸念していない」とし、インフレ抑制の金融引き締めを最優先する。米国の政策金利は2023年に5%に達するとの予測もあり、一段の円安・ドル高に警戒したい。
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1、2の両日に開く会合で政策金利を4会合連続で0・75%引き上げるとの見方が有力だ。翌週に中間選挙を控える。イエレン米財務長官も「市場で決定される為替レートがドルにとって最良の体制」であると語り、現行のドル独歩高を容認している。32年ぶりに1ドル=148円台まで進んでいる円安の一段の進行が懸念される。
米国の9月の消費者物価指数は市場予測を上回る前年同月比8・2%の上昇で、40年ぶりの歴史的な物価上昇が続く。米FRBによると、米国の10―12月期の消費者物価指数は前年同期比5・4%の上昇に改善すると見通していたが、予断を許さない状況にあると言える。
マイナス金利政策を継続するのは主要国で日本だけで、投機筋に狙われやすい。日本の対外純資産は世界1位ながら円買いの動きはない。日本の21年の1人当たり国内総生産(GDP)は世界27位にとどまり、90年代から続く生産性の低下が円安の根底にある。学び直しなどの人材投資や成長戦略を賃上げにつなげる好循環を実現したい。
国際通貨基金(IMF)は、23年に世界経済の3分の1が景気後退に陥ると予測する。国別ではドイツとイタリアがマイナス成長、米国が1%成長にとどまり、日本は先進7カ国(G7)で最も高い1・6%だが低成長と見通す。世界経済の減速で日本の輸出は期待できず、脱炭素・デジタル化への関連投資や家計の過剰貯蓄を消費に振り向ける内需喚起が求められる。
(2022/10/18 05:00)
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