産業春秋/温かい心配りの経営

(2022/11/23 05:00)

勤労感謝の日は祝日法に「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」とある。前身の新嘗祭が国民統合の宮中行事だったため、戦後の占領政策であらためられた。

新嘗祭は生活基盤を持った祀(まつ)りが起源との説も。「指を折って干支(かんし)を算える技術を学ばぬ以前から、すでに我々は穀母(こくぼ)の身ごもる日を予知し、またそれを上もなく神聖なる季節なりと、感ずることを得た」と民俗学者の柳田国男は『海上の道』で書いている。

電気設備工事の松川電気(浜松市)は勤労感謝の日に合わせ、赤米で炊いたご飯と栗蒸し羊羹(ようかん)を社員と協力会社に家族の分も含めて贈る。「一家だんらんを提供するのが当社の役目」と社長の小澤邦比呂さん。

メッキ加工の平和化研(大阪府八尾市)では社長の浦崎和子さんが「ご苦労さま」の言葉をかけて御菓子を社員一人ひとりに手渡しする。創業から58年。初代の「社員は宝」との教えが息づく。

景気の先行きが不透明で社員が不安に思う時ほど、温かい心配りが組織の活力を生むのだろう。日本人は助け合いとチームワークを大切にしてきた。穀母の身ごもるのを祈って力を合わせた、いにしえの記憶をどこかに宿しているではないか。

(2022/11/23 05:00)

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