産業春秋/薪ストーブの揺らめく炎

(2022/12/20 05:00)

薪ストーブの供給不足が続いている。ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的なエネルギー危機が影を落とす。国内の輸入業者は「本場欧州の製品が入手しにくくなっている」と困惑する。

日本でも静かな人気を呼ぶ。薪ストーブ製造のモキ製作所(長野県千曲市)は、12月になっても受注残を消化できる見通しが立たない。「こんな年は初めて」と、うれしい悲鳴をあげる。

コロナ禍や空き家問題が影響していそうだ。リモートワークの普及で郊外に移住する人が増え、暮らしの質を高めるために薪ストーブを購入する。古民家のリノべーションで設置するケースも多いという。

業界団体の日本暖炉ストーブ協会(東京都中央区)によると、販売台数はコロナ下で増加に転じ、2021年は輸入と国産を合わせ7300台に。22年は「最低でも21年並みはいきそう」と協会関係者は手応えを実感する。

知人宅に薪ストーブがある。揺らめく炎を眺めていると、体の芯が暖まり心まで癒やされる。ロシアはウクライナの電力施設へ集中攻撃を続ける。ニュース映像で寒さに打ち震えるウクライナの子どもたちを見た。市民を巻き添えにした何と凄惨(せいさん)でおぞましい仕打ちだろう。

(2022/12/20 05:00)

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