(2022/12/20 05:00)
高齢者の負担を増やすだけの改革にとどめてはならない。
政府は16日に開いた全世代型社会保障構築会議で報告書をまとめた。子育て・若者世代の支援を「急速かつ強力に整備する」ことを目的とし、今後も続く「超高齢化社会」に備えた制度改革の基本方針である。
具体的には「高齢者は支えらる世代である」という固定観念を払拭(ふっしょく)し、能力に応じた負担を求める。また単身高齢者の増加を念頭に、新たに「住まいの確保」に取り組む。さらに「恒久的な施策には恒久的な財源が必要」と明記し、子育て施策などの充実に向けた将来の増税を強く示唆した。
内閣官房の責任者は「10年前にスタートした『税と社会保障の一体改革』は一定の完成をみた。次のステップが必要」と説明。その上で「消費増税のような財源がない中で、国民の納得を得る財源を今後、検討する」と強調した。
少子化・高齢化が続く中で、医療費や介護など社会保障の負担は不断に見直す必要がある。経団連や日本商工会議所、連合などは連名の意見書で「現役世代の負担軽減にかかわる施策の確実な実施」を要望している。高齢者の負担増は、やむを得な社会の要請と言えよう。
しかし実態として、企業の従業員の社会保険料は会社が半額負担しており、退職者は収入減と社会保障負担増のダブルパンチに苦しんでいる。一方、現役世代の副業収入には社会保障費用を徴収する仕組みがなく、相対的に負担が軽くなる。
こうした社会保障の各制度間の落差を埋め、負担を平準化しなけなければ国民の理解は得にくかろう。
また子育て世代の支援を強化するためには多額の財源が必要であり、将来の増税は避けられない。具体的には消費税が候補になろう。産業界はかねて消費増税を政府に要望してきたが、政治的理由で避けられてきた歴史がある。
少子化対策は早く手を打つほど効果が大きい。政府は「子育て・若者世代のための増税」の議論を始めるべきだ。
(2022/12/20 05:00)
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