(2022/12/28 05:00)
中国で新型コロナウイルスの新規感染者が急拡大している。停滞する経済を浮揚させるためゼロコロナ政策を大幅緩和したことが、感染者を急増させている。中国は2023年1月には水際対策も緩和し、海外との往来も本格的に再開する。だが経済優先のためのゼロコロナ政策の修正が、むしろ経済の足を引っ張りかねない皮肉な事態を招いている。中国のコロナ禍と経済の今後に警戒したい。
中国政府は25日の全土の新規感染者を2637人と発表したのに対し、浙江省は100万人超、山東省は50万人超と発表するなど、政府の認識より実態は深刻化しているとみられる。23年1月下旬の春節(旧正月)と春節後の活発な人出を見据え、3月中旬まで高原状態のコロナ禍が継続するとの見方もある。現地工場の稼働率低下など、日系企業への影響が気がかりだ。
中国がゼロコロナ政策を大幅に緩和したのは、行動制限に猛反発した若者らのデモへの警戒ばかりでなく、むしろ経済対策の色彩が濃いように映る。ゼロコロナ政策と危機的な不動産市況を受け中国経済は大きく減速し、1―9月の実質成長率は3%にとどまる。異例の3期目となる習近平総書記(国家主席)は23年3月の全国人民代表大会(全人代)で、同年に5%前後の成長を実現する計画を発表するとみられ、ゼロコロナ政策の修正は不可欠だったようだ。
中国は7日にゼロコロナ政策の緩和を発表し、無症状・軽症者の自宅隔離が可能となり、多くの公共の場でPCR検査の陰性証明の提示が不要になった。さらに26日には水際対策の緩和も発表。48時間以内のPCR検査で陰性を確認できれば、入国者の隔離措置を撤廃する緩和策を23年1月8日から講じる。
中国の医療施設はゼロコロナ政策を前提としたため逼迫(ひっぱく)が懸念され、解熱薬や抗原検査試薬も品不足が続く。高齢者によるワクチンの追加接種率も低いとされる。習氏は人命を守る措置を講じると表明したものの、死者が100万人を超えるとの見方もある。日系企業への影響を引き続き注視する必要がある。
(2022/12/28 05:00)
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