社説/G7議長国・日本 東アジア安保、欧州結束に期待

(2023/1/13 05:00)

先進7カ国(G7)議長国の日本はウクライナ情勢にとどまらず、東アジアの安全保障上のリスクも欧州と共有し、結束を強化することが求められる。欧米を歴訪中の岸田文雄首相は英仏伊との各首脳会談で、安保協力の拡大や台湾海峡の平和の重要性などを確認した。5月のG7首脳会議(広島サミット)を控え、G7が安保の枠組みを欧州から東アジアに拡大させる道筋を付けたものと評価したい。

他方、G7は中国への抑止力を強化しつつ、経済で結び付きが強い同国とは意思疎通を継続し、「対立と協力」の関係を維持することも求められる。

岸田首相は英仏伊との各首脳会談で、ウクライナに侵攻するロシアへの制裁とウクライナ支援を継続することを確認。その上で、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は認められないとの認識を共有した。

日英伊による次期戦闘機の共同開発や英軍・仏軍と自衛隊の共同訓練、日伊関係の戦略的パートナーシップへの格上げなど安保での連携強化を確認した。日仏は2023年前半に外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)を開き、日伊も外務・防衛当局間協議を始める。連携の具体化に向けた作業を急ぎたい。

北大西洋条約機構(NATO)も、22年6月の首脳会議で行動指針「戦略概念」を12年ぶりに改定し、中国が安保上の課題であることに初めて言及していた。南太平洋にはフランス領があるほか、英国は環太平洋連携協定(TPP)加盟を申請しており、安保上の脅威が欧州からインド太平洋に拡大していることを警戒する。欧州も台湾有事リスクなどを共有することで、覇権主義的な動きを強める中国を抑止する効果が期待される。

日本はアジアで唯一のG7メンバーであることを最大限に活用し、米欧に加えてグローバルサウス(途上国)とも対中ロで結束を推進したい。日本は国連安全保障理事会の非常任理事国でもある。機能不全に陥っている安保理改革を進める上でも同志国を増やし、国際秩序の再構築につなげていきたい。

(2023/1/13 05:00)

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