社説/転機の日米金融政策 円高の進行度合いを注視したい

(2023/1/17 05:00)

日米が金融政策を修正する転機を迎えている。日本は日銀が長期金利の上昇を抑えるため10年物国債を購入し続けるなど、市場機能の歪みを解消できずにいる。米国は政策金利の利上げ幅を縮小するとの観測が市場に広がる。日銀が容認する長期金利の上限を引き上げれば、日米金利差が縮小して円が買われやすくなる。円高がどこまで進行するのかを注視したい。

日銀は2022年12月に長期金利の上限を0・25%から0・5%に引き上げ、長期金利の上昇余地を拡大させた。だが日銀の想定を超えて長期金利は0・5%を超え、10年物国債の購入を続けて金利を抑え込んでいるのが実情だ。残存年限10年の国債が8、9年の金利より低くなるなど、市場機能は歪んでいる。日銀が長期金利の上限を再び引き上げるのか、17日に始まる金融政策決定会合に注目したい。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が31日から開く会合で、政策金利の利上げ幅を通常の0・25%まで縮小するとの見方が市場で強まっている。22年12月も利上げ幅を0・75%から0・5%に下げており、物価上昇率の伸び鈍化と景気後退懸念に配慮した金利政策に修正するとの見方が市場には多い。

米国の22年12月の消費者物価指数は前年同月比6・5%の上昇と、前月の7・1%上昇から伸び率が鈍化。また世界銀行は米国の23年の実質成長率を0・5%と予測し、22年6月時点から1・9ポイント下方修正している。米FRBには景気への目配りを一段と強めてもらいたい。

米FRBは22年12月の会合で政策金利の最終到達点を5・1%に設定した。0・25%の利上げを次回会合から2回連続で行えばほぼ5%に達するため、米FRBは年央に利上げを止め、利下げ時期を探るとの見方も市場で指摘される。ただ米国経済の下支えが期待される半面、円高の進行度合いに懸念が残る。

日本にとって円高は輸入物価の引き下げ要因となる一方、為替差損が発生しかねない。世界経済が減速する中で輸出にも影響を及ぼすため、今後の為替相場の動向には警戒したい。

(2023/1/17 05:00)

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