(2023/1/31 05:00)
米連邦準備制度理事会(FRB)は31日(現地時間)から2日間の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。政策金利の利上げ幅を0・25%に縮小すると市場は織り込む。懸案の物価上昇率が鈍化しているため、景気後退懸念に配慮する。利上げをいつ停止するかに焦点が移りつつあり、パウエル米FRB議長の発言を注視したい。
2022年12月の前回会合で利上げ幅を0・75%から0・5%に下げたのに続き、今回の会合は0・25%とし2会合連続で利上げ幅を縮小する見通しだ。
22年12月の米国の消費者物価指数は前年同月比6・5%の上昇と、前月の7・1%上昇から伸び率が鈍化。22年10―12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は2・9%と堅調ながら、成長率の半分は在庫の増加が寄与しており、個人消費は前年同期比2・1%増と市場予測の2・9%増を下回った。年央の景気後退観測は根強く、米FRBは景気への目配りを強めたい。
米FRBは22年12月の会合で政策金利の最終到達点を5・1%に設定した。今回と次回3月の会合でそれぞれ0・25%の利上げを決めれば、ほぼ5%に達する。米FRBは5月以降の会合で利上げを停止し、年内に利下げを実施して経済の軟着陸を図るとの見方が少なくない。先進7カ国(G7)の中ではカナダが1月の利上げを最後に、いったん利上げを停止する方針を表明している。米FRBが今回の会合で利上げ停止時期を示唆するかに市場は関心を寄せる。
ただ、ゼロコロナ政策を終了した中国の本格的な経済再開がインフレに作用するとの懸念も一方でくすぶる。中国は不動産業への資金調達規制の緩和をはじめ、IT産業への規制の締め付けも緩め始めており、景気の底入れ・底打ちも想定される。
他方、米FRBの利上げ幅縮小や利上げ停止は、日米金利差の縮小と円高につながる。日本企業による輸出への影響や為替差損の発生などの懸念が残るだけに、米FRBの金利政策と同時に、新総裁を迎える4月以降の日銀の政策が金融緩和の縮小に動くのかも注視したい。
(2023/1/31 05:00)
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