(2023/2/7 05:00)
コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の横浜銀行が神奈川銀行を完全子会社化する。4月4日までに株式公開買い付け(TOB)により神奈川銀行の全株式を取得する。最近では2022年10月に愛知銀行と中京銀行が経営統合し、1月には八十二銀行と長野銀行が経営統合することで最終合意した。再編で経営基盤が強化する地銀には、中小企業の資金繰りや環境変化が激しい地域経済の活性化への貢献が期待される。
日銀の異次元緩和は金融機関の収益を圧迫し、人口減が地域経済を疲弊させている。コロナ禍では実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)により中小企業を支えたものの、今春から返済が本格化し、資金繰りが懸念される。一方で金融機関はデジタル化などの急激な環境変化にも対応する必要があり、経営基盤の強化が欠かせない。政府は地銀同士の経営統合や経費削減、事業多角化などを促す支援を講じており、地銀は効果的な基盤強化策を講じたい。
独占禁止法の特例法が20年11月に施行され、同一県内の地銀合併が寡占禁止規定から除外されている。30年11月までの時限措置で、青森銀行とみちのく銀行がこの特例法に背中を押されて22年4月に経営統合した。また政府は合併・再編に伴うシステム統合・店舗統廃合などの費用に対し、26年3月までの期間、補助金を交付する。
金融庁は不動産担保などに依存しない新たな融資制度「事業成長担保権(仮称)」の概要をまとめ、23年中に法案を国会に提出する。事業の将来性や技術などに担保権を設定できる制度で、経営統合で与信力が高まった地銀は中小企業の多様な資金調達にも応えてほしい。
再編でなく独自路線を貫くのも地銀の選択肢である。21年の改正銀行法の施行により、システム販売やコンサルティング、人材派遣などに業務範囲を拡大できる。ただ日銀が長期金利の上限を引き上げれば経営統合による規模のメリットも期待できる。地銀それぞれが最適な選択肢を模索し、地域経済を支える重責を担ってもらいたい。
(2023/2/7 05:00)
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