社説/G7教育相会合 AIルール構築し学習効率化を

(2023/5/12 05:00)

先進7カ国(G7)教育大臣会合が12―15日の日程で富山市および金沢市で開催される。米オープンAIの対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を念頭に、生成AIの可能性と同時にリスクへの懸念も表明する。4月30日に閉幕したG7デジタル・技術相会合では、生成AIのリスクを評価する国際ルールの策定を促すとした。教育現場も新たに打ち出されるルールに基づき、学習の効率化などプラスの効果を追求したい。

G7は、膨大なデータを学習し、文章や画像を自動でつくる生成AIのプラス面と同時に、子どもの考える力が低下する可能性や作文・論文への悪用、個人情報の漏えいといったマイナス面の影響も共有する。G7は「信頼できるAI」の実現に向け、AI倫理に基づく利用上の国際ルール作りを主導し、教育現場でも有効に活用したい。

子どもたちの可能性を引き出す教育の実現も訴える見通しだ。リアルとデジタルを融合した情報通信技術(ICT)環境を整え、デジタル変革(DX)により教育現場を再構築する必要性を指摘するとみられる。学校の指導・運営体制のあり方を見直すことで、イノベーションにより社会課題を解決する人材の育成などにつなげたい。デジタルと脱炭素などの成長分野で活躍する人材育成の必要性も指摘するとみられる。

コロナ禍は行動制限やオンラインに依存した教育を迫った一方、デジタルの利点も気づかせる契機になったと言えよう。コロナ禍を教育現場がデジタル化に向かう起点と位置付けたい。

他方、ウクライナ情勢をはじめ、世界には教育の機会が奪われている国・地域も少なくない。子どもに一定水準以上の教育を受けさせるには、G7がいかに取り組むべきか。重い課題への解決策も模索し続けたい。

G7は、子どもや教師、研究者間の国際連携の必要性も今会合で訴える見通しだ。文化の異なる国が交流することで、新たな価値を創造する効果が期待される。G7はコロナ禍で滞った人的交流をコロナ禍前に戻すことから始めてもらいたい。

(2023/5/12 05:00)

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