(2023/5/31 05:00)
海外半導体メーカーの対日投資・誘致を促し、日本の半導体産業の基盤強化とともに地域経済の活性化につなげたい。
経済産業省・中小企業庁は2023年版の中小企業白書の中で、半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に触れた。「TSMCの新工場立地に伴い、九州地方において、設備投資の増加や賃金上昇といった波及効果がみられる」。TSMCによる熊本工場新設が地域活性化に大きく貢献しており、こうした好事例を増やしていきたい。
九州フィナンシャルグループの試算によると、TSMCの熊本進出に伴う経済波及効果が31年までの10年間で約4兆2900億円に達する。経済効果はTSMCの新工場での半導体生産、TSMCおよび関連企業の工場での設備投資、工業団地の開発などから成る。加えて半導体人材の確保に向けた賃上げの成果も上げており、全国各地で成長企業の誘致が期待される。
熊本県の蒲島郁夫知事は24日に経済産業省を訪れ、TSMCが同県に第2工場を建設する場合、第1工場と同規模の支援の実施を要望した。半導体産業への期待の大きさがうかがわれ、支援の継続が期待される。
経済産業省は、半導体国内産業の国内売上高を30年までに現状比3倍の15兆円超に拡大する目標を掲げる。今後10年で官民10兆円規模の投資が必要とみており、人工知能(AI)や自動運転などの次世代産業を支える先端半導体で国内基盤を確実に強化してもらいたい。
岸田文雄首相は先進7カ国(G7)広島サミットに先立つ18日、海外半導体メーカー7社を官邸に招き、対日投資の拡大を要請した。米マイクロン・テクノロジーは政府支援を前提に5000億円の対日投資を表明するなど、前向きな意思表明が相次いだという。岸田首相は半導体産業への支援継続を訴え、西村康稔経産相は「日本の半導体産業が世界をリードしていけよう取り組む」と語った。国内半導体産業の基盤強化を経済安全保障につなげつつ、疲弊する地域経済の底上げも図りたい。
(2023/5/31 05:00)
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