産業春秋/「アップル空間」のつくり方

(2023/6/21 05:00)

米アップルが発表した「Vision Pro(ビジョンプロ)」―。「空間(スペーシャル)コンピューター」と呼ぶ新しいカテゴリーの製品だという。

発表会では拡張現実(AR)という言葉を2度使ったものの、仮想現実(VR)もメタバースも人工知能(AI)も一切なし。他社が提唱する概念や特定のイメージにつながる既存の言い回しを避け、性能面だけでなくマーケティングでも他社製ヘッドセットとは別物の「アップル空間」づくりにこだわる。

3499ドル(約50万円)の価格に対し製造コストは1500ドル以上との推測も。研究開発(R&D)費もかなりの額だろう。ちなみにアップルの2022年のR&D支出は262億ドル。直近5年間の合計額は1000億ドル(約14兆円)近い。

3月にメタバース部門の廃止が報道された米ディズニーは今回、ビジョンプロへの映像コンテンツやアプリ供給を一番に表明。アイガーCEO(最高経営責任者)は「我々のビジョンを現実(リアリティー)にする革新的な製品」と称賛した。

性能が高いから、金をかけたから売れるとは限らないのが世の常。現実空間でのキラーアプリ獲得にポストiPhoneの未来がかかっている。

(2023/6/21 05:00)

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