(2023/9/19 05:00)
日本の2023年7―9月期の実質国内総生産(GDP)はマイナス成長となる見通しだ。輸入の大幅な減少で高成長だった4―6月期の反動が出る。内需は力強さを欠き、外需も欧州や中国の経済減速で伸びが鈍化する。内需主導の成長を目指すには、実質賃金の増加が欠かせない。政府は10月にまとめる新たな経済対策で、財政規律を守りつつ効果的な物価抑制・賃上げ促進策を講じてほしい。
日本経済研究センターがまとめたESPフォーキャスト調査(エコノミスト36人の経済見通し)によると、日本の7―9月期の実質GDP成長率は年率換算でマイナス0・47%と見通し、4―6月期改定値のプラス4・8%からの反動が現れると予測する。
4―6月期は個人消費、設備投資ともに前期比マイナスで、内需が落ち込んでいた。内需の停滞から輸入も前期比4・4%減と大幅に減少。輸入の減少はGDPにプラスに働く。この輸入の減少に加え、輸出が同3・1%増と堅調だったことが全体の成長率を押し上げていた。
ただ4―6月期の輸出は一時的な増加要因が絡む。半導体の供給不足が緩和され、自動車の挽回生産に伴う輸出増が大きく寄与していた。こうした要因が7―9月期に緩和されることに留意する必要がある。
7―9月期の個人消費は前期比0・38%増、設備投資は同0・84%増と微増にとどまる見通しで、輸出も同0・56%増と前期の勢いはない。欧州や中国の経済は減速しており、外需の先行きは不透明感を拭えない。
内需主導の成長軌道を描くには、賃金の伸びが物価の上昇を上回る必要がある。厚生労働省によると、8月の実質賃金は前年同月比2・5%減と、16カ月連続で減少した。足元ではサウジアラビアの自主減産により原油価格が高騰しており、物価高の長期化も懸念される。
政府が10月にまとめる経済対策が、停滞する内需を浮揚させる糸口になるかを見極めたい。23年度補正予算案で野放図な歳出を戒めつつ、内閣支持率を回復させることは可能なのか、新内閣の取り組みを注視したい。
(2023/9/19 05:00)
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