(2023/9/23 17:30)
【ヘルシンキ=碩靖俊】フィンランドのカイ・ミュッカネン環境・気候相は22日、日刊工業新聞社などのインタビューに応じた。同国が原子力発電による電力供給を推進していることについて、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現と、電力の安定供給を両立するには、原子力発電の活用が欠かせない」とした。同国は、2035年に欧州初のカーボンニュートラル実現を目指している。
「石炭、石油などの火力発電を減らす中で、原子力がどうしても必要になる」とし、電力の安定供給を可能にするには、原子力発電が最も現実的な選択肢との見方を示した。
フィンランドは、化石燃料からの脱却を急ピッチで進めている。原子力のほかにも、風力発電や水力発電といった再生可能エネルギーを増やしている。ミュッカネン環境・気候相は「原子力による発電と、風力や水力などから生み出す再生可能エネルギーを両輪に電力を安定供給する。これを原動力に投資を呼び込み、産業を成長させる」とした。
原子力発電所をめぐり、同国では4月半ばに本格稼働したオルキルオト原子力発電所3号機を含め、計5基の原発が稼働している。また原発から出る使用済み核燃料の処理について、世界初の最終処分場建設を進めている。
同じ欧州連合(EU)加盟国のドイツは原発の全廃を決め、4月半ばに最後の原子炉による発電のための運転を停止。同じEU内でも原子力に向かう姿勢の違いが鮮明になっている。
(2023/9/23 17:30)
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