(2023/10/19 05:00)
労働組合の中央組織「連合」は、2024年春闘の賃上げ率の目標を「5%以上」とする方針を決めた。23年春闘の目標「5%程度」より表現を強め、2年連続の高い賃上げ率の実現を目指す。岸田文雄政権が月内にも策定する総合経済対策が、この目標をどこまで後押しするかが大きな焦点となる。政権は所得減税なども念頭に置くが、自民党内には慎重論もある。財政規律に配慮しつつ、デフレ脱却の道筋を探ってもらいたい。
23年春闘の賃上げ率は3・58%と30年ぶりの高水準だった。ただ実質賃金の低下が続く。24年春闘も高水準の賃上げが必要と判断し、賃上げ目標の表現を強める。経団連も24年春闘で大企業の賃上げ率を4%超としたい意欲を示す。連合は経団連と共闘し目標に近づきたい。
総合経済対策はガソリンや電気・ガス料金を抑制する補助金の延長・拡充のほか、賃上げや成長投資を行った企業への減税措置も講じる。低所得者向け給付金も検討する。中でも焦点が所得減税の行方だ。岸田首相は「税収増を国民に還元する」とし、23日の臨時国会での所信表明演説で一時的な減税措置の具体化を与党に指示する方針だ。
問題は、国民に還元する税収を確保できるかだ。22年度予算の剰余金は2・6兆円あるが、これは防衛費の増額と国債償還に充てる。23年度税収も7、8月は前年同月を下回った。22年度から法人税の計算方式が変わり、企業が払い過ぎた法人税を23年度に還付している。中東情勢など先行き不透明な世界経済も税収を読みにくくする。
鈴木俊一財務相は税収増の還元について「十分な財源的な裏付けがあるとは思っていない」とし、自民党の森山裕総務会長は所得減税について「財政規律を考えながら対応することが大事」と指摘する。岸田政権は内閣支持率の回復と総選挙を見据えてか、経済対策で「減税」を強調する。だが所得減税を実施する場合は財源も明確にする必要がある。政権は防衛費や少子化対策でも財源問題を抱える。財政規律を順守しつつデフレ脱却の糸口を見いだしたい。
(2023/10/19 05:00)
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