(2023/10/26 05:00)
岸田文雄首相は23日の所信表明演説で、一般ドライバーが自家用車で客を有料で運ぶライドシェアの課題に取り組むと表明した。地域交通の担い手不足などを背景に、移動手段の多様化を検討するものだ。ただタクシー業界は反発し、自民党内にも安全面から慎重論がある。利用者の安全・安心の担保に向け、審議を尽くしてほしい。
タクシー運転手がコロナ禍前の2019年比で約2割も減った一方、9月の訪日外国人客は19年9月比で96%まで戻った。タクシーやバスの運行が少ない過疎地も、移動の課題は深刻な社会問題だ。米国や中国、東南アジアなどで浸透しているライドシェアを実用化することで、円滑な消費行動を支える効果などを期待できる。海外の先行事例や、2006年から国内で始めたライドシェアに近い制度の利用実績などを踏まえ、慎重な制度設計が求められる。
06年に始めた「自家用有償旅客運送制度」は、過疎地などに限定して自家用車での有料運行を認めている。国土交通相の登録を受けた自治体やNPO法人などが対象で、2種免許は必要ない。車両整備や運転手を管理する責任者を選任し、運転手の疾病、疲労、飲酒の状況を確認することなどが求められる。料金はタクシーの半額が目安だ。
政府は同制度を参考に、都市部への対象地域の拡大や、運行する時間帯などを議論するという。タクシーが不足する地域と時間帯に運行を制限し、運行管理や配車をタクシー会社に委託する案などがある。タクシー会社と共存しつつ、新たなビジネスモデルの出現につなげたい。
ライドシェアの世界市場は年間10兆円規模に達しているとの調査もある。確かに利便性が高い。スマートフォンのアプリケーションに現在地と目的地を入力すれば、マッチングした車のナンバーや車種、色、経路と料金がアプリに示され、運転手の性別を選べるサービスもある。利用者による評価制度を設けて運転手の質を担保している運営会社もある。こうした事例なども参考に、多様な移動手段の可能性を模索してもらいたい。
(2023/10/26 05:00)
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