(2023/12/5 12:00)
オープンハウスグループは障がい者雇用を増やすことで、会社全体の業務効率化や労働時間の短縮につなげている。障がい者を中心に構成された部署「オペレーションセンター」は、営業部門など他部署の事務業務の一部を切り出して受託する機能を持つ。障がい者雇用率を上げることは企業の義務。しかし、ただ雇用するのではなく働きやすい環境・制度を整えることで、働きがいを持ち、会社の戦力として貢献する組織へと育てる。
オープンハウスグループの事業会社であるオープンハウス(東京都渋谷区)は、土地の調達、住宅の建築、販売などを行う。不動産業は「足で稼ぐ」激務や売り上げが営業担当者個人の能力に依存するなどのイメージが残る。
同社は情報通信(ICT)技術や人工知能(AI)の活用、営業知見の共有などを積極的に行い、業務効率の向上や、誰でも一定の成果が得られる体制づくりを目指している。オペレーションセンターも取り組みの一環で、営業部門のサポートを行う。同センターが設立された2022年初頭に月8万件ほどだった業務量は、現在では月10万件ほどに増えた。業務範囲や種類も広がり、欠かせない部署に成長している。
現在同部署の従業員は100人弱。そのうち約7割が精神・発達障がい者だ。三つのオフィスを構え、それぞれの拠点で従業員を支える公認心理師や社会福祉士、事務スタッフが配置されている。業務は資料のラミネートなどの単純な作業から、図面作成などの知識や技能が必要なものまで幅広い。入社時や月に数回行う面談などで本人の得意な業務を1人につき3―5件ほど割り振り、他部署と連携しながら業務に当たる。グループ長など組織内役職の約85%を障がいのある従業員が担い、指導されるのではなく主体性のある部署として機能している。
オフィスは精神的な負荷の大きい満員電車に乗らずに済むベッドタウンに構えた。身体障がいがあっても通いやすいように駅から近く、余裕のある通路幅や多機能トイレを備える。休憩室や1人になれる集中ブースなども設けた。部署独自の制度として、時短勤務や月に1度の通院のための半休、通常の昼休憩に加えて1日30分の小休憩を用意。市川友和オペレーションセンター部長は、これらの柔軟な対応ができるのは「専門の部署を作ったからだ」と話す。部単位で制度を設けることで休暇や休憩を取るハードルが下がり、勤怠が不安定な従業員や休職者を受け入れる体制も整う。3年以内に入社した従業員の1年後の定着率は94・9%。施策は定着率向上にも結びついている。
会社規模の急拡大に伴い、業務の効率化と法定雇用率維持のため障がい者採用の拡大は必要だ。市川部長は「次のマネージャーを育てなければならない」と語る。障がい者のマネジメント経験のある人員を採用する方法もあるが、「その方法には走りたくない」と頭を悩ます。部内の役職希望者を育てて、従業員の満足度を高めることで、主体性のある組織を維持していく。
(2023/12/5 12:00)
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