(2023/12/19 05:00)
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議が18日閉幕した。覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、経済と安全保障で連携を強化する共同ビジョン声明を採択した意味は大きい。だがASEANは政治的に中立で、中国との通商の結び付きも強い。日本はASEANの成長をいかに取り込み、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するのか、解を導き出す胆力が引き続き問われる。
特別首脳会議は日本とASEANの友好50周年を記念し、16日から都内で開かれた。採択された共同ビジョン声明は、自由で開かれたインド太平洋の要衝であるASEANと海洋安全保障の協力強化などで合意した。だが東シナ・南シナ海で海洋進出を強める中国を名指しで非難することはなく、日本による防衛装備品の供与もASEAN全体の問題でなく2国間協議に委ねられた。安保をめぐる各国の立ち位置の違いに留意したい。
ASEANはタイを除いて植民地時代を経験し、第二次世界大戦後に独立した。西側か東側かの二者択一でなく、非同盟・中立を貫き成長してきた。日本はASEANに西側諸国の価値観を押し付けず、中国依存を低下させるサプライチェーン(供給網)もデカップリング(分断)でなくデリスキング(リスク低減)との共通認識の下、連携を強化することが求められる。
経済分野では日本とASEANが対等な立場で経済・社会を「共創」することで一致した。これまで日本は政府開発援助(ODA)や日系企業の進出・投資でASEANの急成長を支えてきた。だがASEANの域内総生産(GDP)が日本を抜くのは時間の問題とされ、中国も域内での影響力強化に動く。
共同ビジョン声明では人的交流や供給網の強化、インフラ投資、次世代自動車産業支援、さらに気候変動対策を共同で推進することでも合意した。岸田文雄首相は官民で5年間に350億ドル(約5兆円)を投資すると表明した。日本がASEANから選ばれる国になれるのか、日本の存在感が経済・安保両面で問われていると再認識したい。
(2023/12/19 05:00)
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