(2023/12/19 12:00)
小型貫流ボイラメーカーの三浦工業は、自社を働きがいや働きやすい職場にしようとワークライフバランスに重点を置き、多様な社員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境づくりを進めている。その中で働き方改革を加速。有給休暇取得率の向上や職場環境の整備をしてきた。ボイラのメンテナンス業務に従事する女性FE(フィールドエンジニア)が誕生するなど、女性活躍の推進にもつなげている。
「2024年4月に5人の女性FEが入社する」(松田達也人事部長)。女性総合職の入社も増え9人のうち5人がFEだ。FEの仕事は重い物を運ぶなどの作業があるため女性には重労働だと思われていた。一方で谷水恭子執行役員人財統括部長は「FEの仕事をしてみたいという女性社員が出てきた。現場作業を工夫することで、女性がFEに挑戦したいと思えるようにしたい」と語る。
これに先立ち、18年から女性社員が活躍できる職域を広げるため社内公募制を拡充。これまでに事務の女性社員を営業に3人、FEに2人に配置転換。24年春も3人の女性FEを現場に配属予定だ。
同社は過重労働・長時間労働の是正と防止にも注力する。16年10月から「フレックスタイム制」、19年にはコアタイムなしの「スーパーフレックスタイム制」を導入。「午前午後を問わず1日3時間以上での柔軟な勤務を本人が決められる」(松田人事部長)ようにし、労働時間の効率的な利用を進めている。
22年4月にはフレックスタイム制を育児短時間勤務者へ適用拡大。パソコンのログ(使用記録)を利用した勤怠申請の自動化で、勤怠申請の効率化と正確性の向上を実現した。育児支援では19年に育児短時間勤務制度を小学6年生までに延長。16年4月には同社と社会福祉法人福角会(松山市)、堀江病院(同)の3者で事業所内保育所を開設している。
これらが功を奏し22年度は有休取得率が前年度比17・2%増の82・1%と初めて80%を超えた。有休取得日は同3・3日増の16・0日、残業時間はあとわずかで月20時間を切る状況だ。積み立て有休は毎年一律で3日付与され、最大40日まで積み立てができる。病気やけが、家族の介護・看護に利用できる制度で、社員が安心して働くことができる環境を整えた。11月には副業制度のトライアルを始めた。
その中で「残業の多いメンテナンス部門の業務環境の改善が課題」(松田人事部長)と、社員の中でもいち早くFEにタブレット端末を支給し、客先で提出資料を作成できるようにして仕事の効率化を図っている。急な夜間作業後は次の出社までの間隔を最低9時間空け、翌日はノー残業を徹底させている。
人手不足解消の一環で女性FEの活用が期待されている。同社ではデータ分析などで力を発揮してもらいたい考えだ。
谷水執行役員は「事業が拡大する中、人材は特に大切。社員が会社に誇りを持ち、学生にも三浦工業で働きたいと思われる会社を目指す」としている。
(2023/12/19 12:00)
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