(2023/12/26 17:00)
損害保険大手4社が企業向けの保険で価格調整していた問題が、監督官庁による行政処分に至る事態に発展した。金融庁は26日、価格調整問題を受け、4社に対し、保険業法に基づく業務改善命令を出した。独占禁止法に触れる恐れのある不適切な取引が日常的に行われていたとみて、再発防止策の徹底を求める。損保大手が一斉に行政処分を受けるのは、2007年の保険金不払い問題以来、約16年ぶり。
業務改善命令を受けたのは、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。リスクが高く補償額が巨額になる契約を複数社で分担する「共同保険」をめぐり入札時に価格調整する行為が横行していた点が問題視された。
21日に記者会見した日本損害保険協会の新納啓介会長(あいおいニッセイ同和損害保険社長)は、あいおいニッセイ同和損保の場合で、「営業成績を落としたくない気持ちから、他社と(価格)調整してしまったケースがあった」と明らかにした。また他社水準と大きく乖離(かいり)した保険料を提示することで「他の契約で幹事会社の変更や引き受け割合の減少などの影響が出てしまうことを懸念し、調整行為に及んだケースがあった」とした。
各社はすでに弁護士ら外部の識者を交えて再発防止策の実行に動いている。業界団体の損保協会としても「独占禁止法遵守のための指針」を改定。契約引き受けの際、競合他社との接触や情報交換は原則禁止とした。例外的に情報交換する場合には公正な競争を制限しないこととした。4社が金融庁の業務改善命令を真摯(しんし)に受け止め、再発防止策に本腰を入れて取り組むことが求められる。
(2023/12/26 17:00)
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