(2024/2/14 12:00)
JR東日本物流(東京都墨田区、野口忍社長)は、働きやすさの改善に向け、所定労働時間の短縮を含む多様な施策を進めている。1日の労働時間を30分短縮して7時間半としたほか、正社員と非正規社員との中間の「専門職社員」の設置、制服の改良などを実施した。多様な社員の活躍につながっている。
JR東日本物流は2023年4月から本社・現場の正社員を対象に労働時間を7時間半にした。物流業界の平均よりも短く、基本給は変えていない。子育てなどで忙しい人にも、私生活を大事にしたい人にもうれしく、全員の働きやすさを改善し、やる気を高められる施策だ。
事前に業務を効率化したのではなく、「先に労働時間を短縮し、それに合わせて働き方の見直しを促す」(細田博史取締役)というやり方も独特だ。
というのも、現場は突発的な物事に対応できるように元々時間に余裕を持たせていた。「労働時間を短縮しても生産性は落ちないと見込んだ」(細田取締役)。実際に各職場で改善が進み、23年4―9月は1人当たりの1日の平均労働時間を12分縮めることができた。「一時的に残業代が増えるが、じわじわと効果が出る。将来はもっと労働時間は短くなる」(同)。
22年3月に設置した専門職社員制度は、ドライバーや現場作業を行う非正規のパートナー社員の定着率向上を狙った新しい正社員制度だ。従来はマネジメントを行う正社員と現場で働くパートナー社員とで仕事内容を分けていた。当時から正社員登用制度はあるが、ドライバーを続けたい人には合わず、正社員になって辞める人も多かった。
そこで現場の仕事を続けつつ、休暇などの条件は正社員と同じにした専門職社員をつくった。これまでに40人以上を登用し、現場からは好評だという。
女性に着目した職場環境などの改善の取り組みは、制服の刷新プロジェクトにつながった。また、自社で改良できる拠点では更衣室やトイレもきれいにした。「女性に限らず、みんなの働きやすさにつながった」(総務部事務センターの斎藤啓子リーダー)。雇用形態の振り幅を大きくしたこともあり、女性従業員の比率は16年の4・9%から現在は15%に向上したという。
働きやすい労働条件や職場環境を通じ、安定した物流を支える。
(2024/2/14 12:00)
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