(2024/3/28 12:00)
アソビュー(東京都品川区、山野智久最高経営責任者〈CEO〉)と名古屋市が、東山動植物園(名古屋市千種区)で電子チケットと生成人工知能(AI)を施設のサービス向上に生かす試みを実施した。電子チケットの導入に伴って蓄積できる顧客の動向や口コミといったデータをAIなどで解析する。2023年10―12月に一連のシステムの試験導入をし、実証実験を行った。電子チケットによる混雑緩和とAIによるデータ分析の一挙両得を狙った仕組みが、従来にはない業務改善効果をレジャー施設にもたらすかもしれない。
日本の動物園で2番目となる年間250万人の来園者を誇る東山動植物園。入園券の発行所は自動化しておらず、繁忙期の休日には発行所がある正門に長蛇の列ができていた。
だが、アソビューの観光・レジャー・文化施設向けのソリューション「ウラカタ」を試験導入していた23年10―12月ごろは様相が違った。来園者は同社の予約サイトを通じて電子チケットを事前購入し、スマートフォンでチケットの役割を果たす2次元コードを係員に示せば入場できるようになった。予約サイトにアクセスできる2次元コードを掲示した看板も入園券の発行所付近などに設置し、電子チケットを持たない来園者にも購入を促した。
その結果、電子チケットの利用率は最大で30%を超えた。連休を中心に目視で確認したところ、発行所の列が解消する時間は「(導入前は)多い時は15分ぐらい並んでいたが、5―6分になった」と東山動植物園を運営する名古屋市緑政土木局東山総合公園管理課の白木竜也主査は効果を説明する。
試験の目的は混雑緩和だけではない。顧客データの蓄積と来園者からの評価の解析の効率化も狙っている。試験によって、地元の来園者は開園直前のタイミングでチケットを買う場合が多かったり、東山動植物園と同様にアソビューでチケットが買える名古屋港水族館にも行く比率が高いといったチケット購入者の動向を示すデータを収集できた。
また、予約サイトに用意している掲示板には実験中の2カ月半の間に、来園者の感想やコメントが約1400件集まった。この解析に生成AIを活用。1件1件を人手で読み説いてデータ化する作業を効率化した。
これで施設内の好評なところや不満を持たれている点を把握するとともに「購買動向の数値分析を掛け合わせることで、今後の施設運営に生かせる」(アソビューCEO室)という効果が期待される。
(2024/3/28 12:00)
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