(2024/4/16 17:00)
三菱商事は16日、米国で大気中の二酸化炭素(CO2)の直接回収技術「DAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)」のプロジェクトに参画すると発表した。英石油大手シェルのグループ会社などと共同で実証を進め、DAC技術を持つ企業への出資も検討する。三菱商事は実証段階を含め数十億円の資金拠出を計画し、2020年代後半の商業化を目指す。回収したCO2の一部は三菱商事の合成メタン事業などで原料に活用することも視野に入れる。
三菱商事がDACプロジェクトに参画するのは初めて。ルイジアナ州で米シェルUSガス&パワーやルイジアナ州立大学、ヒューストン大学と共同でDACの技術実証を進める。大型のファンを回転させて回収したCO2を地下に貯留する計画で、将来的にCO2換算で年間100万トンの炭素除去を目指す。
DAC技術は一部実用化されているが、DAC装置内の用材に吸着させたCO2の分離に使う熱エネルギーのコストなどが課題となっている。三菱商事などは有望なDAC技術を持つ企業とともに、コスト削減につながる技法の精査を進めて競争力のある事業モデルを商業化する。
将来的には他地域への展開のほか、回収したCO2の一部を合成メタンやSAF(持続可能な航空燃料)の原料に活用して三菱商事の既存事業との相乗効果の発揮も狙う。
大手商社ではカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)需要の取り込みに向けてDACプロジェクトに参入する動きが広がっている。住友商事はDAC技術を持つ米グローバルサーモスタットに出資し、欧州や中東、アジアへの事業展開も検討。双日は九州大学などと共同で特殊なCO2分離膜を使った小型のDAC装置を開発中で、人が密集する電車や商業施設などへの実装を図っている。
(2024/4/16 17:00)
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