(2024/4/16 12:00)
中堅ゼネコンの浅沼組は、女性社員の働く環境の改善を加速させている。人手不足で協力会社の技能者に占める外国人比率も高まり、建築・土木現場では、ダイバーシティー(多様性)推進は事業継続の根幹に関わる喫緊の課題だ。時間外労働の上限規制が建設・物流業界に適用される「2024年問題」への対応も求められる。デジタル変革(DX)やロボットの導入だけでなく、適切な工期を交渉するという根本的な問題にもメスを入れる必要がある。
浅沼組では、現場で協力会社の技能者に対し指示を出す施工管理業務に、女性社員も従事する。ただ出産や育児などのライフステージを迎えると、同じように業務を続けるのは難しく、内勤に移るケースが多い。そうした女性社員をいかに現場勤務に戻せるか、模索している。
施工管理業務には、安全書類や施工図の作成など、在宅勤務が可能な作業がある。浅沼真里香執行役員は「他業界に比べ女性活躍が遅れている」とした上で、「まずは属人化している業務を、現場でやるべきものか在宅でやるべきものか、整理しないといけない」と方針を示す。ただ出産・育児後も働き続ける女性社員の事例は、今まさに増え始めているところだ。具体的な成果が見えてくるのはまだ先になるという。
協力会社の技能者には外国人労働者も増えつつある。特定技能で在留資格を得て働く外国人労働者は、英語が母国語でないことも多い。そのため現場の案内表示は、英語の併記だけでなく“平易な日本語”で説明できているかどうかも重要なポイントとなる。
24年問題対応としては、案件受注時の施主との条件交渉が重要だ。粗利の確保だけでなく、4週間のうち8日間を現場閉所して休む「4週8閉所」も確保できるかどうか。ただ現実問題として、施主から「他社はもっと短い工期でやっている」と言われれば、対応せざるを得ないこともある。浅沼執行役員は「工期ダンピングを是正し、業界全体で4週8閉所をやろうと、日本建設業連合会も強く打ち出している」と、業界内で理解を広げる必要性を切実に訴える。
女性活躍でも時間外労働規制でも、建設業界はちょうど過渡期にある。今の取り組みが数年後のあり方を決めることになるだろう。
(2024/4/16 12:00)
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