(2024/4/25 05:00)
中国が世界の電気自動車(EV)市場をけん引している。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国の新車販売台数の世界シェアは、2023年に続いて24年も6割を占める見通しだ。米欧は安価な中国製EVに対し、中国メーカーの過剰生産や地方政府による補助金などの支援を問題視する。米欧は中国製EVに制裁関税を課す可能性があり、行方を注視したい。
EVで出遅れた日本は、全固体電池の実用化・量産化でコスト削減を進めるなど、中長期の視点で巻き返しを図りたい。
IEAの「世界EV見通し」によると、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた世界の新車販売台数が24年に約1700万台と、前年より2割増える見通しだ。中国製は前年比25%増の約1000万台と全体の6割を占める。中国は新車販売の45%をEV・PHVで占める見通しで、「自動車強国」への歩みが進むとみる。
中国製の多くがガソリン車より安価で、米欧は不当に廉価である可能性を指摘する。米テスラが中国メーカーとの価格競争などを背景に1―3月期に減収減益だった一方、中国・比亜迪(BYD)の23年12月期は2ケタ台の大幅な増収増益だった。対照的な結果に注目したい。
中国政府は10―22年に販売補助金制度を導入し、23年以降も地方政府が関連企業に補助金を支給している。イエレン米財務長官は3―9日の訪中で、中国製EVの過剰生産を問題視し、地方政府による補助金削減を要求。制裁関税も示唆した。欧州連合(EU)も廉価な中国製EV車と補助金の関係を調査中で、7月にも暫定的な関税を課す可能性がある。過度な保護主義は慎みたいが、公正な競争環境は維持する必要がある。
EV・PHVの世界新車販売に占める日系車の比率は、23年で1%に過ぎず、巻き返したい。トヨタ自動車は27―28年にEV向け全固体電池を実用化し、ホンダと日産自動車はEVでの協業を検討する。政府は35年に全ての新車を電動車にする目標を掲げる。脱炭素に資するEV化の歩みを着実に進めたい。
(2024/4/25 05:00)
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