(2024/4/26 12:00)
堀口エンジニアリング(東京都渋谷区、堀口昇治社長)は航空機地上支援器材(GSE)や宇宙関連製品の設計・製作と修理、各種エンジンや周辺部品の修理再生、プラントメンテナンスなど幅広く手がける。航空機エンジン用ドーリー(台車・搬送機器)など、特色ある製品・事業が特徴だ。官から民に移行しつつある宇宙ビジネスでも、「新たな挑戦を模索している」(高梨秀一取締役)という。
同社は1947年に渋谷区で創業し、48年に会社組織を設立。自動車部品の機械加工や溶接加工からスタートした。65年には調布工場を新設し、自動車・建設機械修理に加えて船舶関連、特殊車両製作などに事業を拡大し、これが「現在のGSE部門につながっている」(高梨取締役)。
同工場の新設に伴い、国内航空会社からエンジン運搬用のドーリーを受注し、航空会社からの受注が急増。これをきっかけに同年、東京大学宇宙航空研究所(現ISAS)からの依頼で、官民で開発・製造していたラムダロケットの運搬台車製作を受注し、同年10月に鹿児島県の内之浦の発射場にロケット運搬台車を納入した。
その後、85年までロケット台車の製造を手がけたが、ロケット本体の大型化や台車機能の複雑化が進み、同分野の事業を修理・メンテナンスにシフト。一方、GSE事業では実績を積み重ね、91年に政府専用機の支援器材を受注した。97年には米プラット&ホイットニーとライセンスを結び、同社製「PW4000」シリーズ用のドーリーやクレードルの生産を開始した。ライセンス取得には3年を費やし、「商社や千葉工業大学に協力してもらい、取得できた」(第2営業部営業3課の大貫兼司係長)。現在、エアバス「A320neo」搭載エンジン用のスタンドを国内で堀口エンジニアリングが唯一、生産する。
国内では先行する米国をおいかけ、宇宙ビジネスの民間への移行が進む。こうした中、同社では「衛星」「ロケット」「宇宙港」での展開を視野に入れる。オーダーメードが基本の衛星、ロケットにアジャストできる機器、発射場におけるロジスティクスなどが想定しているアプリケーションだ。
同社はこれまでにも大型衛星機や小型衛星機の製造に使う横転装置や月面着陸船用の試験治具などを製作してきており、航空機ビジネスで培ったノウハウを生かしていく構え。国内におけるスペースポート(宇宙港)についても、自社の技術力が生かせるか調査・検討を進めているところだ。
モノづくりを手がける企業として「治工具や刃物まで製作する」(経営管理部の河合和喜主任)という技術力の高さとともに、「修理を手がけてきたことでノウハウがたまっている」(高梨取締役)。設計から製造、品質管理まで一貫して行うため、「情報管理がきちんとできる」(同)ことも、機密保持が重要な航空宇宙ビジネスでは大きな強みだ。
(2024/4/26 12:00)
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