(2024/5/15 12:00)
JVCケンウッド子会社のJVCケンウッド山形(山形県鶴岡市、渡辺幸司社長)は、無線機などの製造を手がけている。北米市場の好調な無線機販売に対応するため、生産工程の自動化を進めている。その一環で、製品設計についても工程自動化に対応できるように見直し、部品の変更も実行。属人的な技術が求められる部品加工工程を簡易化した。増産に対応しつつ「ラインを増やしても人を増やさない」(渡辺社長)生産体制を構築し、競争力を強化する。
JVCケンウッド山形は無線機のほか音響機器なども生産している。無線機では業務用の「VP8000」が北米市場の好調で増産対応を迫られていた。
無線機生産は短期間で需要が変動する公共安全市場の影響を受けやすく、生産量も変動する。こうした状況でも「納期を守って生産、供給してきたことが信頼につながっている」(渡辺社長)。今後も需要増大が見込まれる無線機の生産効率化は必須となっていた。
生産工程の自動化の検討に際しては、自動化で先行するグループ会社のJVCケンウッド長野(JK長野、長野県伊那市)の事例を参考にライン設計などを進めた。将来、VP8000以外の機種の生産も可能にすることを想定してラインを設計。機種ごとの生産量の変動にも対応する。
自動化に際しては製品設計も見直した。製品の品質を維持しつつ、加工時に属人的な技術が求められる部品の見直しを進めた。その結果、部品点数を従来品「VP6000」比で30%削減。生産時の難易度を下げることで、社員全体の約8割がVP8000の生産に対応できる体制を構築した。
こうした取り組みを経て、2023年12月にVP8000の生産で初めて自動化ラインを導入した。無線機生産の共通工程である基板へのハンダ付けに汎用自動機を、製品検査工程に産業用ロボットをそれぞれ導入した。従来、無線機生産では1ライン当たり9人が従事していたが、同6人で生産可能にする省人化を実現した。
今後9月までをめどに二つ目の自動化ラインを設け、生産工程の自動化範囲を拡大。事前に部品を組み立てる「サブアセンブリー」を導入し、人手によるハンダ付けも自動化する。
26年3月期をめどに、実際の使用環境を想定した製品試験である実働検査工程まで自動化範囲を拡大。1ライン当たり4人で生産可能にすることを目指す。
(2024/5/15 12:00)
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