(2024/5/15 12:00)
プレス機大手のアイダエンジニアリング。中でも電気自動車(EV)向け駆動用モーターのモーターコアを生産する高速精密プレス機のシェアは6割以上を占め、世界で加速するEVシフトを支える。
環境対応と並び世界で課題となる人材不足への貢献に向け、プレス加工のデジタル変革(DX)を支援するシステム「AIDAデータアナリティクスシステムAiCARE」を開発した。同社製プレス機の稼働データを分析し、金型の状態を常時監視するアプリケーションを搭載。金型の寿命予測も可能で、金型のメンテナンス時期を最適化できる。
これまで金型の交換時期は累計のプレス回数や、加工後の加工対象物(ワーク)の状態の変化を熟練技能者が観察しながら判断していた。DX支援システムではプレス機の荷重データを独自のノウハウや最新の人工知能(AI)技術で分析。その結果を分かりやすく提示することで、「熟練者がいない現場でも適切なタイミングでの金型のメンテナンスを支援できる」(橋向喜春上席執行役員)。
生成AIでプレス機の復旧方法などを対話形式で回答するアプリも組み込んだ。米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」を活用。加工法ではどのような機械や手法で加工すれば良いかを、同社が培った技術的な知見を含めて回答する。また機械の稼働停止時には、その原因を同社のサービス担当者に電話で相談するように、AIとの対話から復旧方法を探るといった使い方も実現した。
アイダエンジはこのDX支援システムを高速精密プレス機「MSP」などに標準装備して4月に受注を始めた。通信機器などは事前に搭載し、サブスクリプション(定額制)サービスで提供する。
同社はこれまでプレス機の稼働状況の「見える化」などが可能なIoT(モノのインターネット)システムを提供してきた。橋向上席執行役員は従来システムを進化させたDX支援システムで「業界で課題となる専門家の不足などを補いたい」と意気込む。
(2024/5/15 12:00)
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