(2024/5/16 12:00)
スズケンは医薬品の製造受託機能を有する複合型物流拠点「首都圏物流センター」(埼玉県草加市)を稼働した。医薬品の製造から医療機関への輸送までを網羅できることから、供給までのリードタイム短縮を実現。拠点内はロボットによる自動化・省人化も実現した。高い品質管理体制も武器に、希少疾患向け医薬品など厳重な管理が求められる「スペシャリティー医薬品」を手がける海外企業の開拓が期待される。
「希少疾患向けの医薬品が開発されることで、最小の在庫を最適に全国へ流通させることが求められる時代が来ると言われてきた。首都圏物流センターを起点に、個々の取り組みを総仕上げしていく」(浅野茂社長)。
同物流センターは、スズケングループやパートナーとの取り組みの成果の象徴とも言える拠点だ。同社は2005年にメーカーの物流受託を開始。その後も希少疾患領域の総合支援や、再生医療等製品の治験製品物流をはじめ、スペシャリティー医薬品への対応を進めてきた。同医薬品は高い品質管理体制が要求される中、IoT(モノのインターネット)技術などを駆使した履歴管理システムなどの展開も図っている。
こうした中、新拠点では卸物流エリアにメーカー物流、また21年に業務提携した武州製薬(埼玉県川越市、高野忠雄社長)による製造業務受託の機能を併設。日本での製造・物流体制が整っていない海外製薬企業が市場参入しやすい体制を整備したことで、国内未承認薬の提供にもつながるとみる。
このインフラを支えるのが、高い品質管理を実現する人材だ。同社では全国の物流拠点で、医薬品の適正流通基準(GDP)に関する社内資格である「GDPスペシャリスト」の配備を進めている。同基準に即した運用・教育・管理体制が展開されていることも、顧客への付加価値として訴求する。
スペシャリティー医薬品市場の拡大に伴い、今後も物流や製造受託の拡大が想定される中、スズケンは名古屋・大阪地域にも同様の機能を持った拠点の設置を検討する。また「(物流の)上流から、医療機関までの在庫の情報などを一元的に管理できるプラットフォーム(基盤)も準備している」(浅野社長)状況。首都圏物流センターのモデルを皮切りに、医薬品のバリューチェーンを広範囲にカバーできるスズケンならではのサービスを提供することで、さらなる事業拡大を図る。
(2024/5/16 12:00)
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